重要有形民俗文化財 「琴高台」
Kinkoutai
創建年代末詳、文化四年(一八〇七)の古記録に「布袋」の名で見える。同十二年、漢学者 赤田臥牛(あかだがぎゅう)が、琴高という仙人が鯉に乗って天に昇るという古事が『列仙伝(れつせんでん)巻一』にあり、それを引用して現台名に改めた。
天保九年(一八三八)、組内居住の名工 谷口与鹿(たにぐちよろく)の若き情熱に託して腕をふるわせた。台名にふさわしく鯉の意匠が数多く施され、欄間の波間に遊ぶ鯉の彫刻はその躍動美に驚かされる。
また、明治二十五・六年(一八九三・四)大改修を行った本見送幕は垣内雲鱗(かいとううんりん)作の琴高仙人図である。緋の大幕には金糸波浪の鯉を刺繍し、中段四隅の黒塗地には鯉の滝昇り金具を新調している。
昭和二年には替見送幕を徳川家十六代家達書で琴高仙人の漢詩書幅で仕上げた。台紋については、この屋台の主眼である鯉を正面から見た文様でまとめている。